第129章 強くなれる理由<肆>
啖呵を切る蜜璃を鬼は睨むと、ゆっくりと口を開いた。
「黙れあばずれが。儂に命令して良いのは、この世で御一方のみぞ」
鬼の雷のような声が響いた瞬間、蜜璃は石のように固まると、
(あばずれ!?)
鬼のあまりな言葉に、蜜璃は思い切り顔を引き攣らせた。
(あばっ・・・あっ・・・。私!?私のこと!?)
蜜璃は身体を震わせながら、さらに顔を大きくゆがませた。
(信じられない!!あの子なんて言葉使うのかしら!?私の弟とそんなに年格好変わらないのに!!あら!?でも、鬼だと実年齢と見た目は違うわよね。それにしたってひどいわ!)
「ちょっと待てコラァ!何適当なこと言ってんだガキ爺!!」
そんな空気を切り裂く様に、汐の鋭い声が響いた。
「みっちゃんはね、尻が軽いんじゃない!!」
「しおちゃん・・・!!」
汐の言葉に蜜璃の顔がパッと明るいものに変わるが、次の汐の言葉を聞いて固まった。
「頭が軽いんだよ!!間違えんじゃねーわよ!!」
「あなたの方がとんでもないこと言ってるわよ!!」
鬼よりも無慈悲な汐の暴言に、蜜璃は先ほどとは比べ物にならない程顔を崩してまくし立てた。