第129章 強くなれる理由<肆>
一方鬼も、攻撃自体を斬り裂いた蜜璃に微かな驚きを見せていた。
だが、鬼はそのまま表情を変えずに、木の竜を操り蜜璃をからめとろうとした。
蜜璃はそれを、柔軟を生かしたしなやかな動きで全て避けている。
次に鬼が繰り出したのは、汐が先ほど受けた重圧の攻撃。
そのすべてを素早い動きで躱す蜜璃。隙の無い動きに、炭治郎は目を離すことができなかった。
(す、すごい。あれが汐の師範の・・・、甘露寺さんの戦い方・・・)
鳴り響く太鼓の音の中、木の幹ほどの太さの竜が蜜璃を喰らおうと突っ込んできた。
――恋の呼吸・弐ノ型――
――懊悩巡る恋
蜜璃は逆に竜に突っ込むように加速すると、流れるように刃をしならせ瞬く間に切り刻んだ。
今度は別の竜の口が、光の槍のようなものを飛ばしてきた。
――陸ノ型――
――猫足恋風
しかし蜜璃はその攻撃すらも、舞うようにしてすべて斬りおとした。
(この速さでもついて来るか)
蜜璃の素早さに、鬼の顔にも微かに焦りが見え始めた。