第129章 強くなれる理由<肆>
木の竜に捕らわれた二人は、先ほどの重圧とは比べ物にならない程の圧力を身に受けていた。
骨がきしみ、内臓が圧迫され、呼吸をすることもままならない。
汐は技を放とうとするも、指一本動かせず悔し気に歯を食いしばった。
その時だった。
突然身体を締め付けていた木が緩み、月明かりが差し込んでくる。そして耳に飛び込んできたのは――
「しおちゃん!!」
透き通るような、聞き慣れた声。
「みっちゃん!!」
汐はすぐさま木の中から這い出すと、師匠の名を高々と呼んだ。
「捕まって!!」
蜜璃は汐の手を引くと、そのまま飛び上がり炭治郎を飲み込んだ木の竜を斬り裂いた。
「炭治郎!!」
汐は炭治郎の手を掴み、蜜璃は汐の身体を抱えるとそのまま羽のように地面に降り立った。
「大丈夫!?ごめんね、遅れちゃって!!」
蜜璃は木の影に座らせると、「休んでていいよ!」と明るく言った。