第129章 強くなれる理由<肆>
「まずい、逃げるわよ!!」
汐が炭治郎を抱えて動くのと、木の竜が襲い掛かってくるのはほぼ同時だった。
「化け物め・・・。儂を、儂を跪かせて良いのは、あの御方のみだ!!」
激昂した鬼が雷を落とし、風を起こし、木の竜を次々と放ち、汐に猛攻を叩き込んだ。
その威力は炭治郎達が経験したそれの比ではなかった。
逃げる間、汐は炭治郎から矢継ぎ早に状況を教わっていた。
半天狗の本体は、野ネズミほどの大きさである事。あの鬼の能力によって本体は木の中に隠されていること。木の竜の射程距離はおよそ六十六尺である事。
「だからそれ以上離れれば何とかなる・・・!」
「わかったわ!」
汐は竜から六十六尺以上離れると、炭治郎を離し別方向に走り出した。