第129章 強くなれる理由<肆>
鬼が倒れたと同時に、炭治郎達の木の拘束が僅かに緩んだ。
その隙を突き炭治郎は脱出し、汐の傍に落下するように降り立った。
「炭治郎!!」
汐は炭治郎に駆け寄り思わず目を見開いた。炭治郎の顔にはあちこちに血が付き、左足が無残な姿になっていた。
「汐・・・、よかった、無事で・・・」
「人の心配をしている場合か、馬鹿!!」
自分よりも汐の心配をする炭治郎を、汐は怒鳴りつけた。だが、鼓膜が破れている今の炭治郎に、汐の声が聞こえない。
「それより状況を教えて!禰豆子は!?あのヒトデ爺は何処にいるの!?」
汐は捲し立てるが、炭治郎は声が聞こえず何を言っているのか分からなかった。
「すまない、汐。俺はさっきの鬼の攻撃で鼓膜が破れて音が聞こえないんだ」
「何ですって!?あの野郎・・・っ!」
汐は悪態をつこうとするが、歌が切れたのか鬼が動く気配がした。