第129章 強くなれる理由<肆>
「鉄珍様、聞こえますか!!」
蜜璃がさらに声を上げると、鉄珍は蜜璃を凝視しながら口を開いた。
「若くて可愛い娘に抱きしめられて、何だかんだで幸せ・・・」
血を吐きながらこの場に全く似つかわしくない言葉を紡ぐ鉄珍に、蜜璃は一瞬面食らったが途端に顔を赤らめた。
「やだもう、鉄珍様ったら」
そんな二人を見て、他の男たちは蜜璃に手を握って欲しい等の言葉を口にし、鉄珍から咎められていた。
だが、この時蜜璃は気が付かなかった。
もしもこの場に汐がいたなら、鬼の襲撃よりも大惨事になっていたということに・・・。