第128章 強くなれる理由<参>
「弱き者をいたぶるからよ」
鬼はさも当たり前だというように答えた。
「先程 貴様らは、手のひらにのるような『小さく弱き者』を斬ろうとした。何という極悪非道。これはもう鬼畜の所業」
「小さく弱き者?」
鬼のあまりにも身勝手な言葉に、炭治郎は声を震わせた。
「誰が・・・誰がだ。ふざけるな」
先ほどまでの恐怖が、怒りに変わり体中を流れていく。
炭治郎は気づいていた。目の前の鬼から発せられる血の匂いに。
「お前たちのこの匂い、血の匂い!!喰った人間の数は百や二百じゃないだろう!!」
炭治郎の額に、怒りのあまり血管が浮き出した。全身の血液が、怒りのあまり沸騰しそうだった。
「その人たちが、お前に何をした? その全員が、命を償わなければならない事をしたのか!?」
炭治郎の怒りは空気を震わせ、禰豆子、玄弥も唖然として彼を見つめていた。
「大勢の人を殺して喰っておいて、被害者ぶるのはやめろ!!ねじ曲がった性根だ、絶対に許さない!!」
――悪鬼め・・・!! お前の頸は、俺が斬る!!
炭治郎の怒りに満ちた声が、あたり中に響き渡った。