第128章 強くなれる理由<参>
(六体目・・・!!)
その光景に炭治郎の顔が大きく歪んだ。4体の鬼にさえ手こずっているのに、さらに新たな鬼が現れたという事実に絶望を感じた。
しかし炭治郎はある事に気が付いた。喜怒哀楽、他の鬼の気配が消えていたのだ。
その絡繰りは、別の場所にいた玄弥が目撃していた。
炭治郎が本体の頸を斬ろうとしたとき、積怒が両手を掲げた。
その瞬きほどの間に、空喜と可楽は握りつぶされるようにして吸収された。
少し離れた場所にいた哀絶は、声を発することなく吸収され、積怒はあの姿へと変化したのだ。
鬼は半天狗の本体を、樹木のようなもので覆い隠し始めた。
「待て!!」
炭治郎が叫ぶと、鬼は炭治郎を鋭い目で睨みつけた。
その威圧感に炭治郎は思わず竦み、玄弥ですら汗と動悸が止まらなかった。
「何ぞ?」
鬼の口から、重りの様な声が漏れた。気を緩めれば一瞬で押しつぶされてしまうようだった。
「貴様、儂のすることに何か不満でもあるのか。のう、悪人共めら」
鬼は炭治郎を射抜く様に見据え、そう言った。そのあまりの声の重さに、玄弥は縫い付けられたように動けなくなった。
「ど・・・、どう・・・して」
そんな中、鬼の重圧に負けないようにと、炭治郎は日輪刀を握りなおしながら口を開いた。
「どうして俺たちが、悪人・・・なんだ?」
炭治郎の小さいがはっきりとした声は、鬼の耳にも届いた。