• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第127章 強くなれる理由<弐>


「はあ!?お前に言われたくねーわよ!!鏡で自分の面を見てから言いやれ!!」

汐はそう叫ぶと、蛸足に捉えられている無一郎たちを見て顔を青くした。

その隙を玉壺は見逃さず、汐に向かって壺の口を向けた時だった。

突然、無一郎たちを絡めていた蛸足に線が入り、瞬く間に細切れにされたのだ。

これに汐は勿論、玉壺も驚き固まった。

そのまま無一郎たちは重力に従い落下し、無一郎は着地後ゆっくりと立ち上がった。

その手には、鞘から抜き放たれた霞の様に真っ白な刀があった。

「俺のために刀を作ってくれて、ありがとう。鉄穴森さん」

無一郎は玉壺を見据えたまま、鉄穴森に感謝の言葉を伝えた。

「いやいや、私は・・・、あなたの最初の刀鍛冶の書き付け通りに作っただけで・・・」

「そうだったね」

無一郎は優しい声色でそう言った。

「鉄井戸さんが最初に刀を作ってくれた。心臓の病気で死んでしまった・・・」

無一郎の脳裏に、刀を作ってくれた鍛冶師の姿が蘇った。

余命僅かでありながらも、最後まで自分の心配をしてくれていた人。

(鉄井戸さん、ごめん。心配かけたなぁ。だけど、俺はもう大丈夫だよ)

無一郎は心の中で鉄井戸に感謝と謝罪の言葉を呟き、目の前の敵を見据えた。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp