第127章 強くなれる理由<弐>
「おい、そこの人間」
だが、鋼鐵塚は玉壺の言葉が聞こえていないのか、返事もせず反応もしない。
響くのは鉄の研ぐ鋭い音だけだ。
「作者は誰なのだ。どのような方がこの刀を・・・。なぜ自分の名を刻まず“この一文字を”・・・。いや、分かる、分かるぞ・・・」
自分に対しての反応がない鋼鐵塚に、玉壺は驚愕のあまり顔を歪ませた。
(こいつ!何という集中力!!この玉壺に気づか程、没頭!!きっ、気に喰わぬ!!)
鋼鐵塚のこの態度が、玉壺の矜持を大きく揺らした。
(私とてこれ程、集中したことはない!!芸術家として負けている気がする!!)
玉壺は怒りのあまり、持っていた壺から魚の化け物を呼び出すと、鋼鐵塚の身体を斬り裂いた。