• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第126章 強くなれる理由<壱>


『凄いね、僕たち剣士の子孫なんだって』

その夜、無一郎は興奮した様子で野菜を切る有一郎に話しかけた。

『しかも、一番最初の呼吸っていうのを使う凄い人の子孫で・・・』
『知ったことじゃない。さっさと米を研げよ』

そんな弟の言葉を遮ると、有一郎は淡々と言いながら手を動かした。

『ねぇ、剣士になろうよ。鬼に苦しめられてる人たちを助けてあげようよ』

無一郎は朗らかな笑顔で兄に訴えた。

『僕たちならきっと・・・』

だが、有一郎はその言葉を聞きたくないと言わんばかりに、包丁を叩きつけるようにして野菜を切った。
一度、二度、三度、四度・・・。四度目に振り下ろした時の勢いで、野菜の一部がまな板からころりと落ちた。

『お前に何が出来るって言うんだよ!!』

有一郎の雷のような大声に、無一郎はびくりと体を震わせた。

『米も一人で炊けないような奴が剣士になる?馬鹿も休み休み言えよ!本当にお前は父さんと母さんそっくりだな!!』

砲弾のような有一郎の言葉に、無一郎の顔から笑顔が消えていく。

『楽観的過ぎるんだよ、どういう頭してるんだ。具合が悪いのを言わないで、働いて体を壊した母さんも、嵐の中 薬草なんか採りに行った父さんも。あんなに止めたのに・・・!!母さんも、休んでって何度も言ったのに!!』

有一郎は悔しさを吐き出すように叫びながら、包丁の柄を震えるほど強く握った。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp