第125章 招かれざる客<肆>
(くそっ、無一郎は毒で痺れて動けないし、あたしは呼吸もウタカタも封じられた・・・。どうする?どうする?)
「さて、鬼狩り二匹は放ってもいいだろう。後は、目障りな刀鍛冶師共を・・・。ああ、小娘。お前は死んだ後にきちんと素晴らしい作品にしてやるから、安心して待っていろ」
玉壺は顔を汐に近づけて笑うと、小屋の方に向かって動き出した。
(まずい、まずい!早くしないと鋼鐵塚さんが危ない!早く早くしないと・・・、でも・・・!!)
焦る汐の脳裏に、突然過去の出来事が浮かんできた。
それは数ヶ月前に、吉原での任務の事。鬼の術を相殺した時に放った、新たなウタカタ。
(確かあの時は、毒で呼吸なんかほとんどできていなかった。でも、爆砕歌以上の威力が出た。あの感覚を思い出せたなら、何とかなるかもしれない・・・!)
一方、無一郎は水球の中の汐と小屋を睨みながら、動かない自分の身体に焦りを感じていた。
(駄目だ、体が動かない。毒を食らいすぎた・・・。もう戦えない)
無一郎は霞む視界の中、自分はもうここまでだということを感じた。