第125章 招かれざる客<肆>
「刀鍛冶特有の分厚い豆だらけの汚い手を、あえて!私は全面に押し出しております」
うっとりと自分の"作品"の素晴らしさを語り続ける玉壺に反して、鉄穴森と小鉄は震えながら口を開いた。
鉄火場に至っては、口元を手で押さえながら言葉もなく彼らを呆然と見つめていた。
「金剛寺殿、鉄尾さん。鉄池(かないけ)さん、鋼太郎・・・」
「あああ・・・、鉄広叔父さん・・・!!」
小鉄は面の中からボロボロと涙をこぼしながら、震える声で呼んだ。
「そう! おっしゃる通り!!この作品には五人の刀鍛冶を贅沢に!!ふんだんに使っているのですよ。それ程感動していただけるとは!!」
彼等の反応を湾曲して解釈した玉壺は、更に嬉しそうに手を叩いた。
「さらに刀を刺すことにより鍛人(かぬち)らしさ”を強調しております。このひょっとこの面も無情感や不条理を表現するために残しました。こちらも勿論“あえて”意図してです」
もはや玉壺の説明は汐達には全く理解できなかった。いや、理解したくなどなかった。
(こいつ・・・、なんてことを・・・なんてことを思いつくの・・・!?残虐さ、異常さ・・・、今までの奴らとは比較にならない・・・!)
あまりの残酷さに汐の身体はぶるぶると震え、殺意が冷たい氷のように全身を流れていった。