第125章 招かれざる客<肆>
「ヒョヒョッ、初めまして。私は玉壺と申す者。殺す前に少々よろしいか?」
玉壺と名乗った鬼は、ニヤニヤとした笑みを浮かべながら頭を下げた。
額と口の位置にある目には【上弦・伍】と刻まれているようだ。
「今宵五方のお客様には、是非とも私の作品を見ていただきたい」
玉壺は複数の腕を動かしながら、嬉しそうにそう言った。
「作品?」
「何を言ってるのかな?」
汐と無一郎は、玉壺の言葉の意味が分からず首を傾げる。
「ではまず、こちら」
玉壺はそう言って手を叩くと、いつの間にかそばには壺がありその口から赤黒いものが飛び出してきた。
「鍛人(かぬち)の断末魔”で御座います!!」
壺の中から出て来たものに、全員の身体に鳥肌が立った。
それは、刀鍛冶と思わしき者たちがいくつも組み合わさった、おぞましいものだった。
手足は滅茶苦茶につなぎ合わされ、あちこちに刀が突き刺さり、割れた面からは虚ろな目が覗き、皆夥しい量の血を流している。
あまりの凄惨な姿に、刀鍛冶の三人は言葉も出なかった。
「御覧ください、まずはこの手!」
そんな彼等に、玉壺は嬉々として語りだした。