第124章 招かれざる客<参>
あっという間に見えなくなってしまった無一郎に一瞬あっけにとられるが、すぐに頭を振って鉄火場を見た。
「鉄火場さん、時間がないからあんたを背負っていくわ!」
「え、でも・・・!」
「つべこべ言わない!ほら、さっさとする!!」
汐が怒鳴りつけると、鉄火場は慌ててうなずいて汐の背中におずおずと負ぶさった。
鉄火場が軽いのか汐が鍛えられているのかは定かではないが、不思議と重さは感じなかった。
「飛ばすわよ!しっかりつかまって、舌噛まないように気を付けて!」
汐はそう言い放つと、足に力を込めて走り出した。
一方、小鉄を抱えた無一郎は、走りながらぼんやりと考えていた。
(これは正しいのかな?こんなことをしてたら、里全体を守れないんじゃ・・・)
『鬼から人を助けんのが鬼殺隊だろうが!!』
汐の怒鳴り声が脳裏によみがえると、迷いはまるで霞が晴れるように消えていった。
(いや、できる。僕はお館様に認められた)
――鬼殺隊霞柱・時透無一郎だから