• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第124章 招かれざる客<参>


「どうか助けてください!少しでも手を止めてしまうともうダメなんです!!どうか、どうか・・・!!」

小鉄は服が汚れるのも構わずその場に突っ伏し、二人に向かって頭を下げた。
それを見た無一郎は、困惑した表情を浮かべる。

「ちょっと、男がむやみに土下座なんかするもんじゃないわよ。安心して!あたし達はそのために来たんだから」
「・・・え?」

汐の言葉に、無一郎は思わず顔を向けた。そのとき、彼の頭に小さな痛みが走った。

『君は必ず自分を取り戻せる、無一郎』

それはかつて、自分が大きな傷を負い床に臥せっていた時。
見舞いに訪れていた輝哉に言われた言葉だった。

『混乱しているだろうが、今はとにかく生きることだけ考えなさい。生きてさえいればどうにかなる』

それはとても優しく、温かな言葉。

『失った記憶は必ず戻る。心配はいらない。きっかけを見落とさないことだ。些細なことが始まりとなり、君の頭の中の霞を、鮮やかに晴らしてくれるよ』

「ちょっと、大丈夫?」

急に黙ってしまった無一郎を心配して、汐は声を掛けた。すると無一郎は座り込んだままの小鉄の手を引くと、そのままひょいと片腕で担いでしまった。

「へぁっ!?」

間抜けな声を出す小鉄をそのままに、無一郎は汐の方を向いていった。

「先に行くよ」

無一郎はそれだけを言うと、そのまま小鉄と共に走り出してしまった。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp