第124章 招かれざる客<参>
「これで全部かしら。だけど、こいつを生み出した本体は近くにいないようね・・・」
汐は周りを見渡しながらそう言い、無一郎は表情を崩さぬまま崩れる化け物を見つめていた。
その時だった。
「うわあああ、二人共ありがとう!!」
隠れていた小鉄が飛び出し、汐と無一郎にに抱き着き涙を流した。
「死んだと思った。俺死んだと・・・、怖かった!うわあああ!!!」
小鉄はバタバタと手を振りながら、大声で泣き喚いた。余程怖かったのか、未だに膝が震えていた。
「昆布頭とか鬼よりも鬼女とか思って悪かったよぅ!ごめんなさい~~~!!!」
小鉄は再び二人に抱き着き涙を流すが、小鉄の発した言葉に汐のこめかみがピクリと動いた。
「ちょっと待って?昆布頭はともかく、鬼よりも鬼女ってあたしの事!?」
「昆布頭って、僕の事?」
二人が詰め寄ると、小鉄は泣きながらそれを肯定し謝った。
汐は十発ほど殴ってやろうかと思ったが、今の状況を思い出して踏みとどまった。
「そうだ、あたし達鋼鐵塚さんのところに行くつもりだったの!あんた何か知らない?」
汐がそういうと、小鉄の体が大きく跳ねた。
「そうだ!俺、そのために助けを呼びに行こうとしてたんです!鉄穴森さんも襲われてて、鋼鐵塚さんが刀の再生で不眠不休で研磨をしてるから・・・」
小鉄の言葉に、汐は先ほどの鉄火場の訴えを思い出した。