第124章 招かれざる客<参>
「どこに行くの?まさか助けに行くつもり?」
「はあ!?何言ってるの、当たり前でしょ!?」
汐は苛立ちを隠すことなく無一郎にぶつけた。
「あれ、どう見ても子供でしょ?刀鍛冶として技術も未熟なはず。助ける優先順位は低いと思うけど」
無一郎の無機質な声に、汐は思わず息をのんだ。
「あんたそれ・・・、本気で言ってるの・・・?」
汐は声を震わせながら聞き返すが、無一郎はさも当たり前と言ったように汐を見つめ返した。
「里全体が襲われているなら、まず里長や技術の高い者を優先して守らない――」
「うるせェェェーッ!!!」
無一郎の言葉を、汐は遮って叫んだ。
「命に優先順位があるかボケェ!!鬼から人を助けんのが鬼殺隊だろうが!!」
汐はそう叫ぶと、迷わず小鉄の方へ駆け出した。
「小鉄!!」
汐が呼ぶと、小鉄はこちらに顔を向けた。小鉄の前には、身体は魚で人間の腕のようなものが生えた化け物が、奇妙なうめき声を上げながらにじり寄ってきていた。
「汐さん・・・!?」
「伏せて!!」
小鉄が伏せると同時に、汐は怪物の頸に向かって刃を振り下ろした。
だが、怪物は身体が崩れず再生し始めた。
「頸を斬っても死なない!?鬼の気配がするのに・・・!?」
汐は一瞬焦りの表情を浮かべるが、ふと怪物の背中に壺のようなものが生えているのが見えた。