第123章 招かれざる客<弐>
その瞬間、鼓膜が破れそうなほどの轟音が響き、部屋中に閃光が走った。
炭治郎の体を凄まじい稲光が貫き、痛みも痺れも通り越した強烈な衝撃が脳を揺らす。
(何っ・・・だ、これは・・・!!)
光で目がくらむ中、炭治郎の目は雷の発生源が錫杖であることを捕らえていた。
(あの錫杖・・・、まずい、意識が・・・飛びそうだ・・・!!)
このままでは意識を失い、最悪の場合は二度と目覚めなくなってしまう。そうなってしまえば、誰がこの状況を改善できる。
炭治郎は必死に抗うが、人知を超えた力の前に太刀打ちできず、目の前が暗くなりかけた時だった。
炭治郎の目はもう一つ、鬼以外の誰かの姿を捕らえていた。
眼球がぶれ、はっきりとその姿はとらえきれていないが、見覚えのあるものだった。
(屋根に・・・誰か・・・・)
炭治郎に気が向いているせいか、鬼はその姿に気づいていない。
そう。この場にいた鬼殺隊士は、炭治郎達だけではなかった。
特徴的な髪形に、顔に傷のある目つきの鋭い少年隊士。
――不死川玄弥が、銃口を静かに鬼に向けていた。