• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第122章 招かれざる客<壱>


「と、とにかく刀ちょっと抜いてみます?」
「そうだね、見たいよね!!」

二人は黄色い声を上げながら、はやる気持ちを抑えて刀に手をかけた。

だが、鞘から抜き放たれた刀は、見るも無残に錆びついていた。
これを見た二人はあまりの事に地面に突っ伏してしまい、それを見た汐は「忙しいなこいつら」と再び呟いた。

「いや、当然ですよね。三百年とか・・・、誰も手入れしてないし、知らなかったし・・・。すみません炭治郎さん、ぬか喜びさせて・・・」
「大丈夫!!気にしてないよ」

申し訳なさそうに謝る小鉄に、炭治郎は顔を上げてそう言った。しかしの顔からは涙が流れ落ち、鼻水まで出ていた。
炭治郎の悲壮感漂う顔に、小鉄は罪悪感でいっぱいになり何とかなだめようとした。

その時だった。

背後から何かの気配を感じ、汐は反射的に振り返った。それと同時に、何かが近づいてくる足音が聞こえてきた。

そして木々をかき分けるようにして姿を現したのは――

――筋肉隆々の鋼鐵塚の面をつけた大男だった。

「うわあああああ!!」
「ぎゃあああああ!!」

その風体に炭治郎は勿論、汐ですら絶叫した。

「話は聞かせてもらった・・・。後は・・・任せろ」

鋼鐵塚はそれだけを言うと、炭治郎の手から刀を奪い取ろうとした。

それを慌てて阻止する炭治郎、小鉄、汐の三人。しかし何故か、三人がかりでも鋼鐵塚と均衡するのがやっとだった。
下手をしたら、汐と炭治郎よりも強いかもしれなかった。

「放してください!ちょっ・・・、なんで持っていこうとしてるんです!?」
「何やってんのあんた!これじゃあ強盗じゃないの!!」

炭治郎と汐が必死に訴えるが、鋼鐵塚は「俺に・・・任せろ・・・」とだけ言った。

「だから何を任せんのよ!」
「任せろ・・・」
「だから何を!?」
「説明してくださいよ!鋼鐵塚さん!!」

何を聞いてもそれしか答えない鋼鐵塚だったが、一向に刀を放さない三人にしびれを切らしたのか、突如両腕を振り回した。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp