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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第121章 記憶の欠片<肆>


その声に気づいたのか、小鉄が泣きながら顔をこちらに向け、汐は笑みを張り付けたままゆっくりと振り返った。

「あら炭治郎。起きていて大丈夫?喉は乾いてない?お水もっと持ってこようか?」

汐は優し気な口調で言うが、炭治郎の鼻は汐から漏れ出す怒りと殺意の匂いを感じ取っていた。

「い、いや、大丈夫だ。って、そうじゃなくて!!なんで小鉄君がそんな状態になっているんだ!?」

炭治郎の問いかけに、汐は「ああ」と小さく言うと、小鉄の方に顔を向けた。

「このクソガキは調子に乗りすぎていたの。だからあたしが然るべき制裁を下しただけよ」
「いや、いやいやいや!!それは駄目だろう!!いくら何でもやりすぎだ!!」

小鉄はうめき声を上げながら、必死で逃れようと全身を強く捩るが、縄が食い込むだけで全く自体は好転しなかった。
そんな小鉄に汐は、積み上げられていた木の枝を一つ手に取ると、小鉄の眼前につきつけた。

「ねえ、あんた自分が何したのか分かってんの?人間はね、食事をしなきゃ死ぬの。水を飲まなきゃ死ぬの。眠らなきゃ死ぬんだよ。オメーがやってることは、殺人未遂以外の何物でもねぇんだよ。わかったか?」

汐の冷たい言葉に、小鉄はぶるぶると身体を震わせながら何度もうなずいた。そのあまりの凄惨さに、炭治郎は涙目になりながら叫んだ。

「俺は大丈夫だから、小鉄君を放してあげて!!殺意引っ込めて!!」

炭治郎の悲痛な声と、小鉄の態度に汐の怒りは少し和らぎ、小鉄を解放することにした。

これを見た炭治郎は、絶対に汐を理不尽に怒らせてはいけないと改めて誓うのだった。
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