第2章 転校生には気を付けろ
翌日の朝。
自分の部屋からリビングに迎えば
いつもと変わらぬ光景が飛び込んでくる。
朝食を作る母。新聞を読む父。朝食を食べる弟。
「(あぁ、良かった。)」
安堵の溜息を付けば定位置に座る。
『真矢、おはよう。』
「おはよう。」
目の前に出て来た朝食を口へ運ぶ。
すると母が口を開いた。
『ねえ、真矢?お母さん、昨夜何かあったのかしら。気付けば真矢がお母さんのベッドの脇で寝てたから、、、』
私は咄嗟に誤魔化した。
「お、お母さん、昨日疲れすぎて玄関で寝ちゃったらしくってさ!だから私がベッドまで運んだのよ。」
納得してくれそうな嘘で隠した。
単純な母なのでそれを信じ込んだ。
『あらぁ、そうなの。ごめんなさいね。』
そうして台所へ戻る。
家を出る時刻になり、私は玄関へ向かう。
靴を履いていたら弟に声をかけられた。
『ねぇちゃん、忘れ物。』
乱雑に突き出された手にはお弁当が握られていた
「あー、ごめん。」
弟からお弁当を受け取り家を出た。
近所の神社まで来ると私の脳裏には昨夜起きた出来事が横切った。
「(昨日の、何だったんだろ。)」
神社の前で足を止めていたら後ろから声をかけられた。その声の主は私が唯一学校で1番話をする友人の仁奈であった。
『真矢ーおはよっ!』
「おはよう。」
『今日も暑いねー、、』
他愛のない会話をしていたら思い付いたかのように仁奈は話を切り出した。
『そうそう!あのねっ、噂で聞いたんだけど、、、今日転校生が来てるらしいよ。』
「そうなの?気になるね」
転がっていた小石を蹴りながら仁奈は言う
『そうだねっ!男かなー?女かなー?』
楽しそうに鼻歌を歌いながらそんな仁奈を微笑ましく私は思った。
学校はもう既に目の前で
私達は教室へ向かった。