第8章 クリスマスからのお正月!!
千晶が家に帰ってくると…大量のタバコの吸殻が灰皿にあった。
珠紀はソファで横になって寝ている…
「やっぱり…こうなったか…」
たまに使う使い捨てライター…
それを置き忘れていた。
辞めたはずのタバコを吸うということは…
「おかえり……」
起きた珠紀は気まずそうに言った。
「ただいま。」
何事もなかったかのように言う千晶。
「怒らないんだ…」
落ち込んだ状態のまま珠紀が言う。
「怒ってほしかったのか?」
「わかんない…っ!?」
元気なく答える珠紀を千晶は抱きしめた。
「寂しかったんならそう言え…」
「さみしかった…昔のこと思い出して…あたしは1人なんだなって…寂しくて…辛くて…わけわかんなくなって…」
千晶は泣きながら言う珠紀を抱きしめたまま慰めるかのように頭を優しく撫でつづける。
どんなに背伸びしようと必死になっていても知識だけが身についてしまっている珠紀は心も精神もまだまだ幼いまま。
思い悩むことも戸惑うことも自分がどうしてそうなるのか分からないなんて時もある年頃。
反抗期というものをさせて貰えなかった珠紀なりの反抗がこれなのだ。
千晶はそれを分かっているからこそ怒らないでいる。
本当は怒るべきなのかもしれない…しかし、それでしか反抗出来ない珠紀からそれを奪ってしまったら反抗する事ができなくなってしまう。
だからこそ、放っておく。
そして、親に与えられなかった愛情をたくさん与える…
「珠紀…出かけるぞ」
千晶は珠紀を引き剥がしてからそう言った。
「どこに?」
「いいからついてこい。 」
千晶はそう言って車の鍵とコートを手に取りコートを羽織った。
珠紀は訳が分からないまま自分もコートを羽織って千晶について行った。