第17章 ビックニュース!!
「ごめんね…みんな…シラケちゃったよね…」
珠紀は無理に微笑んだ。
「珠紀…無理に笑わなくていいんだよ。珠紀は頑張ったよ。」
そう言って珠紀を優しく抱きしめたのは田代。
「タァコ……」
珠紀はそう涙声で言うと泣き出した。
他の皆も何故か拍手喝采。
しばらくすると、
「さてと!千晶ちゃん!!嫁を元気にさせる為に歌って!!」
という田代に直巳は…
「そうだな…」
と言ってステージに上がる。
歌ったのは…あの日の文化祭のときの2曲。
いつも静かな雰囲気のエヴァートーンから今日は賑やかな声が響いていた。
珠紀side
ありがとう…
そう言っても足りない。
ずっと1人で子供を産む機械として育てられた
それが当たり前なのだと思っていた。
感情なんて出してはいけないと思ってた。
入院中にそれをまた気付かされた…
祖母から言われたんだ…
〖子供を産む体なのになんて弱い子〗と…
あたしはまた、無表情になった…
更にそれから救ってくれたのは
大切な友人達…
大切な家族…
大切な恋人…
こうやっていることが夢みたいで…
1度は諦めた夢も叶って…
すごく幸せで…
みんなにありがとうって言っても足りない…
ありがとう…
直巳side
本当はいつも怖かった
誰かにバレて珠紀の人生を台無しにするんじゃないかと…
それでも俺の体はいつも勝手に動いて珠紀を愛し続けていた。
傷ついた心は珠紀に会ったときから癒えていく気がした。
全てを知ったとしても珠紀は言った。
〖だからどうしたの?〗
と…
その言葉に俺は救われていた。
本当は臆病なのにいつも強いフリをする大切な恋人…
いや、違うな。
大切な妻。
ありがとう…
これからもよろしくな。