第1章 一目惚れの二人
千晶は中に入るとカーテンを閉めて鍵をかけた。
「んっ…んんんっ!!」
突然珠紀を抱きしめたかと思うとキスをした。
しかも、濃厚なやつを。
「ハァハァ…何すんのっ!!」
突然のことにビックリして思わずキレる珠紀。
「忙しくて連絡すら取れなかったからな。大丈夫か?顔色悪いぞ?」
「直巳に言われたくない。しょうがないじゃん…生理中なんだもん…薬飲んでも体調悪いし…」
「無理するなよ。」
「分かってるよ。」
珠紀はいつも冷静だ。
たまに子供らしいところはあるが、基本的には常にクールといった感じだ。
世間に出ても恥ずかしくないようにと色々と厳しく育てられたのだろう。
感情がないのかと思ってしまうくらいに冷静なのだ。
たまに見せる笑顔はほとんどが愛想笑い。
千晶が珠紀の心からの笑顔を見たのは欲しいと言っていた服をプレゼントした時だけ。
〖ありがとう〗
満面の笑みで珠紀が言ったのを今でも覚えている。
〖高校生にデュークスクエアードはないだろ…〗と薫に突っ込まれたが……
千晶は〖本人が欲しいと言ったんだから良いだろ?〗と返しておいたら呆れられた。