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真っ直ぐ向いて歩けばいい

第1章 一目惚れの二人



「で?うまくやってるのか?」

千晶はパイプ椅子に座るとタバコに火をつけてフッーと煙を吐いてから言った。

「うん。タァコとは幼なじみだし。夕士とは同じアパートだし…別に問題ないかな?」

珠紀は相変わらず冷静に言う。

「そういえば…お前のとこのアパートって…どういうところなんだ?」

千晶は思い出したかのように言った。

「何って…家賃2万5000円で風呂、トイレは共有で談話室的な感じで縁側のある畳の部屋があって賄い付き。」

「そういうことか…」

「どういうことよ。」

「男子高校生の一人暮らしにしてはキッチリしすぎてるからなぁ…もう少しこう…荒れるもんだろ?」

「んー…そうなの?」

「そういうもんだろ…」

「ふーん…あっ…お月見!!」

珠紀はそう言ってカバンを取った。

まぁ、これが普通とはかけ離れている…
高校生がフラメンコのカバンなんて使うだろうか…
まぁ、このカバンだとしても学校は特にカバンの指定は無いため、気にしていないようだ。

「お月見?」

「そう!!アパートでお月見するのっ!!っていうわけでまたね!!あ…そうだ…忙しいのはわかるけどさ…たまには連絡してよ…」

珠紀は教室から出ていった。
後半はどこか悲しそうだった。

「とは言ってもなぁ…」

確かに千晶も珠紀と2人きりになりたい。
しかし、中々時間がとれないのが現実なのだ。

普段…そういうワガママを言わない珠紀。
きっと我慢しているのだろうと思うと
千晶は申し訳なく思った。






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