第16章 冬休みーー!!そして、旅立ち
「そういえば、まだ、決めてなかったな…」
千晶が思い出したかのように言った。
「決まったら教えてよっ!! 」
「そうそう。皆で行くからさ。」
とみんなが口々に言う。
「うん…分かった。」
珠紀はそう言いつつも顔が真っ赤になっている。
卒業式がおわり…
珠紀と千晶は入籍を済ませた。
そして、寿荘にあいさつ&珠紀の荷物を取りにに来た千晶はビビっていた。
結婚祝いを兼ねたパーティという名の飲み会が行われる事になった。
いつもの様にどんちゃん騒ぎ。
「そういえば、珠紀。お主にプレゼントじゃ。」
桔梗はそう言って珠紀に何かの包みを渡した。
「ひぃばぁちゃん…これってっ!?」
珠紀はかなり戸惑っているようだ。
「薄雲太夫の簪じゃ」
桔梗はそう言うとグラスに入った酒を飲んだ。
「だってこれ…ひぃばぁちゃんが大事にしてたじゃんっっ!!」
珠紀はまだ戸惑っているようだ。、
「餞別じゃ。珠紀なら大事にしてくれるだろう?それと、珠紀にクリとシロを頼んだと伝えてくれと茜殿から言われたのでな。」
桔梗は微笑んだ。
「え?でも… 」
とまだ動揺が抜けない珠紀が言った。
「お守りだと思っておけばいいんじゃない?」
と黎明が言うのでその案を採用することになった。
「薄雲太夫?って…あの猫を可愛がってたっていう花魁かっ!?何故…ここにその簪があるんだっ!?」
綺麗な状態で残っている簪を見ながら千晶は驚いているようだ。
「うん。猫又のばあちゃんはね、普通の猫に化けて薄雲太夫のところで暮らしてたの。それで、首落とされて死んだと思った薄雲太夫は体を土に埋めて小さな墓を立てたの。そして、この簪を花の代わりに供えてくれたんだって。」
珠紀は説明をした。
千晶は
「世の中は不思議なことばかりだな……」と微笑んでいた。