第1章 嫌われ者鬼師匠1【冨岡×新弟子】
「……さん……義勇さん!」
目を覚ますと、花怜の家に居た。
「訓練しようとしたら、近くで義勇さんが倒れていて運んだんですよ。疲れてるなら休んで下さい。私は一人でも大丈夫ですから」
そう言う花怜の顔は優しい眼差しであった。
「あのさ……」
これを言っても嫌われないだろうか。
「俺は鬼なんだ。鬼殺隊全員に嫌われていて、死のうとしたら鬼になっていたんだ。花怜、そんな俺が嫌いか?」
これを言ってしまえば師弟関係も終わるだろうから言いたくなかった。
でも、上弦になってしまったからには言っておくべきだと思ったんだ。
花怜は悲しい顔をしていた。
「俺は無残に会った。アイツは俺に最上級の位をやると言って強制的に上弦の零になってしまった……」
「……義勇さん?」
花怜に呼ばれて気付いた。
俺は涙を流していたのだ。
どうして、こんなにも涙が流れるのだろうか。
「私は……鬼でも構いません。私は義勇さんにたくさん感謝していますから、嫌ってなんかいません。むしろ……好きですよ」
彼女の言葉が嬉しくて、俺は抱き締めてしまった。
「ありがとう、花怜……」