第1章 嫌われ者鬼師匠1【冨岡×新弟子】
昼間は隠れ場所を探すのが大変だが、この小娘を鍛えさせてやるのはとても楽しいことだった。
この子は俺の正体を知れば、嫌ってしまうのだろうか。
「義勇さん、私の家に泊まっても構いませんよ。いつも大変だと思うので。それに、私一人なので」
彼女の提案に俺は頷いた。
「じゃあ、しばらく泊めてもらおうか」
きっと彼女の家族は鬼に殺されてしまったのだろう。
俺が鬼だと知っても嫌わないでいてくれるだろうか。
「俺はいらない。お前が食事をしているのを見るのが幸せなんだ」
そんなわけ分からない言い訳を言って、共に食事はしなかった。
俺は毎日こっそり人を食いに行って腹を満たしていた。
「元水柱、鬼になった気分はどうだい?」
人を食っていると、鬼舞辻無残が現れた。
「あまりにも哀れな鬼殺隊員だったから、上弦の壱よりも血を多くやった。姿もあまり変わらず、良い調子であって嬉しいよ」
鬼舞辻無残はニヤリと笑った。
「お前に位を与えてやる。上弦の零だ。別にそれらしいことはやらなくて良い。自由に生きていれば良いんだ」
鬼舞辻無残は俺の首に爪を刺してきた。
俺はそのまま意識を手放した。