第4章 嫌われ者鬼師匠2【冨岡×新弟子】
対立違反だとしても、私は貴方を尊敬してるのに。愛してるのに。
「もう……誰かを失うのは嫌なんです……」
花怜の家族は鬼に食われた。
義勇に自分は鬼だと聞かされても、他の鬼を見る時の憎しみは無かった。
いつも自分に教えてくれる義勇を尊敬していたから。愛していたからだ。
「もう俺は……たくさんの人を食べてしまった。生きる価値など無い、嫌われ者だ」
「義勇さんはたくさん食べてしまったかもしれない。だけど、私は嫌っていない。私は義勇さんが大好きなんです!」
告白みたいになってしまったけど、それほどは義勇は花怜にとって大切な存在である。
すると、義勇は花怜を抱き締めた。
「ごめん。俺はもう人間じゃない。だけど、鬼じゃなかったらお前に会うことなんてなかった。俺はお前を愛してる。だから、最期はお前に殺されたい」
「義勇、さん……」
「頼む、花怜」
花怜は義勇から離れて、刀を構えた。
水の呼吸、拾壱ノ型、凪。
そして、花怜は義勇の首を切った。
花怜は泣きながら、義勇の首を抱き締める。
「花怜、愛してる」
「義勇さん……私も愛してます……」
どうか来世は幸せに生きてほしい。誰にも嫌われず、楽しく……。
END