第1章 嫌われ者鬼師匠1【冨岡×新弟子】
今日もいつものように人を食った後、夜の町を歩いていた。
少し遠出でもしてみようと思った時だった。
一人の小娘が木刀を振っていた。
なんとなく気になって話し掛けてみようと近寄った。
「君、鬼殺隊目指してるの?」
「えっ?あっ、はい……」
女の子が鬼殺隊になる理由とは、家族がなっているか、大切な人を鬼に食われたからだろうか。
俺は目の前の石に腰を掛けて、偉そうに言った。
「俺は元鬼殺隊、最上位の水柱だった冨岡義勇だ」
「柱……?」
「俺がお前を夜の間だけ鍛えてやる」
俺の言葉に小娘は笑顔になった。
「はい、お願いします!私は石原花怜です」
「そっか。早速始めようか。キツくても嘆くなよ」
「はい!」
花怜の笑顔は大層美しいものであった。
基礎体力を向上させたり、真剣で戦ったり、山の登り下りをさせるなど、女の子にとって苦しい特訓を毎夜やらせていた。
でも、彼女は挫けずに辛くても笑っていた。
「義勇さんみたいに私も強くなりたいです」
こんな俺に誰かが憧れてくれている、それが嬉しかった。