第3章 透き通るように【時透×未来人】
脳裏に浮かぶのは好きだったあの人のこと。今、あの人は何してるんだろう。
「僕、明日には忘れちゃうかもしれないけど、話なら聞くよ?」
そう言われて、私は俯いた。
これは私のせいじゃない。だけど、私があの場ですれ違ったからいけないんだ。
「私は生まれて来ない方が良かったんだよ」
生まれて来たから、みんな嫌われて、辛い毎日を送っている。
「なんか、冨岡さんみたい。人に嫌われてるってところが」
だから、冨岡さんって誰よ!
「まぁいいや。なんかあったから、この世界に来ちゃったんだよね?」
私は無一郎君の言葉に頷いた。
「私は……とある人と街中ですれ違って、そしたら犯罪者と呼ばれるようになって、私の居場所は無くなった。だから、飛び降り自殺をした」
私の言葉に無一郎君は目を見開いて驚いていた。
「未来って、そんなに辛いの?」
私は無一郎君の質問に頷く。
「未来には言葉が多い。だから、たくさんの言葉を凶器として使って、人を襲う。それは、とても恐ろしいことなんだよ」
私は天井を見上げて言うと、無一郎君が抱き締めてきて驚く。
「未来のことなんか分からないけど、僕に話してくれてありがとう。ねぇ、夜になったら、みんなで遊ぼうよ。柱とかみんな面白いから」
私はなぜか涙を流していた。
「うん!」
私は笑顔で頷いて見せた。