第8章 見えないトコロ
「エリアル、出掛ける。ついて来い」
側室離宮へ連れて行かれた日から、ルシエトは何処へ行くにもエリアルを伴った。
行く先ではギリシア語をエリアルから学ぶことも忘れなかった。
(私が必要な理由は当初からこの為だった)
そう思うと、なんとなくエリアルの気持ちは萎んでしまう。
「エリー、喉が渇いただろう。コレを食え」
「コレは?」
エリアルは初めて見る物だった。
「サボテンの実だ」
「サボテン…あ、ありがとうございまー…す…」
差し出されたサボテンの実を受け取る拍子に、指先が触れ、
ビクッ として、申し訳なさそうにしながからも、頬をピンク色に染めて手を引っ込めるエリアル。
(なんだよ、その反応…)