第8章 見えないトコロ
ハァァ〜…
エリアルは朝から大きなため息を吐きながら、洗濯をしていた。
「エリアル、どうしたの?」
「ルシエト様を怒らせてしまって…」
一緒に洗濯をしている仲良しの女の子。
同じく奴隷としてここにいる。
「王子はなんの理由もなく怒らないからいいわ。コッチの姫様達は、アレコレ理由をつけてネチネチやるのよ。
頭にくるわ〜っ」
エリアルの悩みは何処へやら。
数人の奴隷女性達が口々に側室離宮の姫達の悪口を吐き出している。
(何の理由もなく怒らない…か…
でも、怒らせた事には変わりないわ…)
自分を使役してる王子の機嫌など、どうでも良いはずなのに、エリアルは何故だか、そればかりが気になった。