第9章 毒を探る
(王宮…?)
エリアルはルシエトの後をそっとつけていた。
(ルシエト様は王宮が嫌いだって…)
王宮を魔の巣窟だ、と言うルシエトは呼び出しがない限り自ら王宮へ行く事はない。
それに、王宮に行くと時は必ず、誰かに一声掛けて行く。
用心の為だ。
(なのに、今夜は、黙ってひとりで……)
不思議に思った。
(…ルシエト様のお部屋?)
必要な物を取りに行く、と言ったルシエトに連れられ、1度だけ一緒に立ち寄った事があった。
離れた場所から見ていると、コツコツと足音が近付いて来る。
「‼︎」
エリアルは慌てて柱の後ろに身を隠した。
衣が擦れる音がして、女性だと解った。
(女の人っ、こっちに来るっ)
と思っていたら、足音が止まり、ヒソヒソと声がした。