第7章 派閥と内毒
夜、星が45度ほど動いた頃、回廊を歩く足音。
離宮の前で止まる。
「王がおいでです」
「きやぁぁ〜❤️❤️」
「王!お待ちしてましたのよ❤️」
「皆、息災であったか?」
王離宮の女達が色めき立った。
それと同じ頃
ルシエトは寝台の端に腰掛け、静かに寝顔を見下ろす。
欲しい物などなかった。
全て思い通りに手に入れてきたから。
いつの頃からか、欲しがらなくなっていた。
柔らかな頬をそっと撫でた。
独占欲なんてとっくになくなったと想っていた。
なのに、
この女に俺以外が触れることが…
指示する事も、口をきくことも、嫌だとおもった。
この女が傅(かしず)くのは俺だけにさせたかった。