第6章 王子と奴隷女
「中央の宝石はラピスラズリだ。
お前の為に作らせた耳飾りだ」
王子が付けるわけではないのに、
とても嬉しそうに見せながら話す。
私は後で知るのだが、
ラピスラズリはこのエジプト王国では、
王族、神官などの上層階級の一部の人しか付けることが出来ない高価で神聖とされている物だった。
「私の為…」
その言葉にちょっとドキッとし、嬉しく思った。が……その気持ちは、次の瞬間、あっさりと打ち砕かれた。
「俺の紋章入りだ。
お前は俺のモノだって印をやる」
王子が王子たる笑顔で勇我的に笑った。
気持ちが一気に萎み、悲しくなった。
「……」