第6章 王子と奴隷女
「極力、な。
誰かれ仲良くするな、と言っている。
お前は俺のモノだろう。
俺の言うことを聞け、いいな」
命令。
俺の言葉に
「……はい……」
神妙だが悲しそうな表情で渋々と言う風に返事をした。
「よし、それで良い」
渋々だとしても、従ってくれれば、
俺は不思議と気持ちが満たされた。
命令に従ってくれれば、満たされる。
王子だから命令し慣れてはいるが、
今までそれほど、強くその思いを感じたことはなかったのに…。
(何でだ?)
判らないまま、押しやった。
気持ちもエリアルも。
「お前ももう休め」
俺の声が柔らかくなったことに安堵したのだろう、ホッとした様子で
「はい、おやすみなさい、ルシエト様」
と言って笑って出て行った。
エリアルの笑顔を見たことで、
何故か俺もホッとした。