第5章 王都王宮
「エリアル、コレは?」
ある日、私はルシエト様に手を取られた。
「え?」
突然の事で、驚いて答えられなかった。
戸惑う私を他所に、淡々とルシエト様は続ける。
「コレ」
人差し指で、掌を押される。
「え…と…手、デス」
「手…ね。じゃ、ココは?ココは?…」
腕、首、背中、足、身体中を指差された。
(身体検査みたいで……)
ドキドキして、だんだん顔が下がる。
「おい、エリアル……えっと…コレは?」
顔の輪郭をなぞられ、大きな両手で顔を挟まれた。
「…えっ、え…と、顔…と…頬」
「そうか、エリアル、顔、上げろ」
人差し指で下から顎を差し上げられた。
(上げろ…って、そう言うんだ)