第4章 漂着地
この男は実直で純朴で真面目そうだ。
実際、黙々と漁に出る為の準備をしていた。
俺に恐縮しながらも、キチンと目を見て答えをくれた。
子供は明朗に賢そうで、
拾った女を奴隷のように扱き使ったりもいていないのは、彼女の笑顔や子供への接し方からも判断出来た。
信頼出来る。
「俺に仕えてくれ。
信頼出来る側近が必要なのだ」
俺には取り巻きがいない。
必要もなかった。
でも、お互い信頼し、裏切らない主従関係を持つ者がいなかった。
いつも独り。
寂いとかそう言う感情ではなく、
あの殺伐とした王宮で首根っこを掻かれないようにする事は独りでは無理だ。
俺が王子でい続ける為には、
身を守らなければならない。