第4章 漂着地
エリアルはそう悟った。
本当に短い間だったけど、言葉の分からない、
何処の誰かも分からない自分の面倒を見てくれた事に感謝する。
と、涙が溢れた。
「ありがとう。ありがとう」
手を合わせて頭を下げた。
(伝わってるといいな…)
私は御礼をしていないことを思い出した。
助けてもらった御礼に私が出来ること。
(!)
私はその日からお世話になった日数分、
洗濯掃除、子供の世話をすることにした。
手の空いてる時間は、子育て中の奥さんの代わりに漁に使う網の手入れも手伝った。
5日ほど過ぎ、
旦那さんと男の子ハラルと私で網の手入れをしていた時の事。
悪戯しながら手伝うハラルを追いかけ回していると、
「そこの子供」
と若い男性がハラルを呼び止めた。
「その女はなんだ」
私には解らないが、ハラルに何かを尋ねた。