第8章 見えないトコロ
ここから遠く離れたギリシア。
言葉も文化も、人の肌の色、髪、目の色全てが違う国。
(帰りたい…はず、だよな…)
ルシエトは心が痛んだ。
見知らぬ土地で独りのエリアル。
「顔を上げろ、エリー」
ルシエトの力強い声に従ってエリアルが顔を上げると、
耳元の髪にスッと何かが挿し込まれた。
「え?」
と思っている間に、
目の前に花が束となって差し出された。
「笑え。花だ。
……お前は、俺の…砂漠の、花だ ////」
言いながら、ルシエトが顔を背けた。
呆気に取られて見ているエリアルにも、
ルシエトが首まで真っ赤にしているのがわかった。