第14章 〈勝デク〉ロマンチックな夜なんて似合わないけど
「ヒーローの時、お前と並んで敵を倒したい。人を救けたい。それができるのは世界中で俺だけでいてほしい。自分を勘定に入れねェお前が自分を顧みれるようになる存在になりてェ」
「……」
僕はただ、黙って彼の言葉を聞く。
「ヒーローじゃない時、お前が救えなかった命を嘆いて泣く時に抱き締めてやれるのは俺がいい。辛い時、疲れた時、側にいてやりてェ。俺以外の奴が隣にいるなんて、反吐が出る」
「……」
彼と特別な関係になってから、愛されてるなとはいつも感じていた。でも、ここまでストレートに欲も含めて想いを言われたのは初めてだ。
(どうしたんだろ……)
彼らしくない。
「……どうしてそんなこと言うんだろって顔してるな」
「え、バレた?」
「バレバレだわ」
やっと目付きが鋭くなって、いつもの彼らしい表情が見れた。さっきまでは酷く優しくて真面目な視線で話すから……。
「……まァ、ストレートに言ったところで鈍感なテメェには伝わらねェよな」
「酷!? それ、恋人に言う台詞じゃないだろ!?」
こんな素敵なクリスマスの日にまで悪態をつかなくてもいいのに……。
少し傷付いて、口を尖らせて上目遣いで彼を見る。