第14章 〈勝デク〉ロマンチックな夜なんて似合わないけど
「今でも根本は変わってねェ。敵を倒して倒して倒しまくる。それは俺の中では揺るがねェ。だが……」
彼は真っ直ぐ僕と目線を合わせる。
「敵がいない世界に越したことはねェ」
「……うん。そうだね」
僕はにこりと微笑む。彼も僕と同じ気持ちだと分かって嬉しかった。
「だけど……デク」
彼が僕のヒーロー名を呼ぶ。
「お前は例え、平和な世界でも……どんな世界だろうと関係なく、誰かが救けを求めたら手を差し出しに行くだろ。自分なんて顧みないのは昔も今も同じだろ」
「……」
相変わらず、痛いところを突いてくるな……僕のことをよく分かってる。
「うん」
「ワン・フォー・オールの継承者として、誰にも及ばない力で世界を守り続けるだろ」
「……」
何も言えなかった。肯定も否定もできない。僕はみんなの力があるからできると思っていることも、他のヒーローがどう思っているかは分からない。
「それでも……俺はお前の隣で並んでいたい」
彼の言葉に目を大きく見開く。びっくりした。あのかっちゃんがそんなことを言うなんて。いつも僕がその背中を追いかけて、それでも手が届かなかった存在なのに。