第3章 ざわつく心
『おぉ!エルヴィン見てよ。アキの横に誰か来たと思ったら、アキと同期で同じ班の男の子だよ!』
ハンジはさっとしゃがみ込み、顔だけ窓から出してアキの様子を見る。エルヴィンはまだ静かにペンを走らせているだけ。
『あの子は確かにアキに助けられてた子だったかな?同じ班だもんね〜、距離も近くなるよね〜、同期っていう昔から知ってる子って特別感がありそ〜』
興奮しながら楽しそうに話すハンジ。
たまに後ろを見ながらエルヴィンの背中に話をかける。エルヴィンはまだペンを走らせる。
『あの子、絶対アキのこと好きだよ!ほらっ、アキの手握ってるもん。アキもついにだれかのモノになるのかぁ…』
『…ハンジ』
『うん?何かな?』
『…ニヤニヤするんじゃない。書類が出来上がった、これを各班に回してくれ』
エルヴィンは忙しく片付けると、出来上がった書類をハンジに渡す。
『すまないがハンジ、用事が出来たから私は失礼するよ』
『了解〜』
楽しそうにハンジは見送ると受け取った書類に目を通す。いつも丁寧な文字を書いているはずのエルヴィンの字が走り書きになっている。
『ははっ!エルヴィンも人間味があってよかったよ!』