第3章 ざわつく心
『――――――ということで、どういう風の吹き回しなのか資金がこっちに落ちることになってね。理由はどうあれ、話を進めて壁外調査に向けて動こうと思うんだけど、エルヴィンはどう思う?』
『そうだな…、彼らの気が変わらないうちに準備していこう。予定は三週間後といったところか…。通常より準備期間は短いが訓練が続いているから、身体の調整も整いやすいだろう。』
エルヴィンは机のカレンダーを確認をする。各分隊長宛ての書類を用意していると、ハンジがカレンダーを手に取る。
『あ、エルヴィン!10/14に壁外調査行くの?』
書類に記入しているエルヴィンの腕を掴み揺らすと、ペン先が左右にズレて落書き状態になる。
エルヴィンは書き直しだよ…と紙を丸めてゴミ箱へ捨てた。
『そうだが、何か問題があったか?』
『14日はエルヴィンの誕生日だよ!せっかくだしお祝い皆でしたいから、調査日変えない?』
『そういうことか。気持ちは有り難いが、それは駄目だ。予定通り14日に決行する』
え〜!!とハンジが面白くなさそうに壁にもたれる。
エルヴィンはまた書類の作成に取り掛かるために、紙の上にペンを走らせる。
『つまんないなぁ〜。。おや?エルヴィン見てよ!この下のキンモクセイのところにアキがいるよ!』
カーテンが風で動き、ハンジの目に先程まで団長室にいたアキがキンモクセイの所にいるのが見えた。エルヴィンは一瞬手が止まるものの、再びペンを走らせる。
『アキって可愛いし勇敢よね〜!新兵だけど前の壁外も合わせて補助15回、巨人6体を討伐した実績もあるしね!他の新兵とは比べ物にならないって聞いたよ!今回はもうちょっと前線でもいいんじゃないかい?』
『……駄目だ。まだ早い』
『お、珍しいこと言うねぇ!実力のある兵士は前線に付けてたエルヴィンの言葉とは思えないなぁ!』
ハンジは巨人の話並みにテンションが上がりだした。