第5章 10月14日
『アキ、待たせてすまないな。そんな所に隠れていないで、こっちに来なさい』
離れた所で静かにしゃがんで待っていたアキは声がする方を見る。上を見上げるとエルヴィンの優しい笑顔があった。
『エルヴィン団長!私がいるのお気づきだったのですね』
『人の気配は気付きやすくてね。リヴァイ達も気付いていたんじゃないかな。さぁ、部屋においで』
差し出された大きな手にアキの手は包まれる。
さすが幹部達は普通とは違うなぁと尊敬しながら、アキは団長室へと入った。
『散らかったままだが、好きな場所に座りなさい』
『お気になさらず、団長ゆっくりしてください』
『あぁ、ありがとう。アキといると心が癒されるな』
ふかふかのソファーに2人で座り、エルヴィンの大きな身体がアキに少しもたれ掛かる。
普段絶対見せない隙を見せてくれていると思うと、アキは嬉しくてエルヴィンの腕を組む。
『アキ、着替えてきてくれのか。普段の兵服もいいけど、私服もいいものだな。可愛いよ』
上から下まで見られアキは照れる。
『せ、せっかくの誕生日ですしちょっとオシャレしてみました!喜んでもらえて嬉しいです!』
『こんな可愛い君を見れるなら、何日も会えなかった日々を耐えたかいがあったよ』
『エルヴィン団長…私も、すっごく会いたかったです』
『私も会いたかった…アキ…』
2人は見つめ合うと自然と唇を交わす。
エルヴィンの手がアキの頬を包み込み深く交わった。
0時前。
しばらく談笑したり、軽食を食べたりと2人は楽しんでいたがアキが時計を見て思い出す。
『エルヴィン団長!数分早いですけど、コレ…私からのプレゼントです!気に入って頂けると嬉しいんですけど…』
持ってきていた袋からグリーンの箱を取り出しエルヴィンに渡す。
エルヴィンは嬉しそうにありがとうと、丁寧にリボンを解き箱をそっと開けた。