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キンモクセイ(進撃の巨人)《エルヴィンBD》

第5章 10月14日


壁外調査の日程の許可が正式に決まると、アキとエルヴィンは忙しく働いた。
アキとエルヴィンはほとんど顔を合わすことなく、たまに廊下ですれ違ったり書類渡しに行くものの、常にエルヴィンの近くには多くの兵士がいた為、まともに話すことがなかった。


『わかっていたけどね…。私以上にエルヴィン団長はきっと大変なんだし、わがままは言えない。私に出来ることは団長を始め兵団や人類の為に人力を尽くすこと。そして、団長の誕生日を祝うこと!』


よし!と意気込んだものの、周りに誰もいないとはいえこの時期に浮ついた発言に慌てて自分の口を押さえた。



『エルヴィン団長のプレゼント…どうしよう…。…団長何でも持ってそうだし…私だけしかプレゼント出来ないようなもの……。あ!アレにしよう!』


アキは訓練が終え、昼食休憩の合間に班長に許可を取り急いで街に出た。









アキが街に出掛けて間もなく、エルヴィンは束の間の昼食休憩にアキの顔が見たく食堂へ顔を出す。普段は団長室で食事することが多く、サプライズ登場のように食堂に現れた為、口の中を頬張りながら敬礼する者、パンを落としそうになりながら敬礼する者など様々だった。


『諸君、敬礼を解いてもらって構わない。ここは食堂だ。壁外調査もある、今だけでも肩を張らずにゆっくり食事をしてくれたまえ』


ハッ!!と一斉に聞こえ、敬礼が解除されるとエルヴィンはにこやかに頷く。
エルヴィンは食堂を軽く見渡しアキの姿がないことに気づき、アキの班の班長を見つけるとそのテーブルに向かう。

『君、アキはどこに行ったか知らないか?姿が見えないようだが…』

『ゴフッ…、だ、団長!?アキですか?それが…その、何か急ぎの用事があると街に行きまして…壁外調査も近いのに申し訳ありません…』

吹き出しかけた口を押さえるアキの班の班長は叱られると思い敬礼しながら、少し青ざめた。

『いや、それならいい。君こそ、優秀なアキを引き抜くことになりすまないな。邪魔をした、食事を続けてくれ』

残念な表情を押し込め、エルヴィンは食堂を後にした。


『街に出たのか…。アキに会ってから王都へ向かいたかったが、私の誕生日までゆっくり会えそうにないな…』
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