第5章 ラクスド
「南の塔に様子を見に行って欲しいんだが
そんなに眠いなら、ミツヒデに任せようか?」
『なーに言ってんの!
私の仕事をミツヒデにあげる訳ないでしょ!
でも食事が作り終わるまで待って欲しい』
「ははっ、言うと思った。
わかった。じゃあ終わったら頼むよ」
にやにやしながら意地悪を言うゼンは
用事を伝え終わると調理場を後にした。
南の塔か、道はミツヒデに地図を書いて貰おうか
霧がかかったみたいに働かない頭
大方寝不足…
それとあの、薪のせいだ
薬も兵士に配ったら無くなってしまうし
寧ろ飲んでる暇もない
頭の中と同じように霞んできた視界に目を顰めながら
朝食用のバケットと、サンドイッチ用の食パンを切り落とす
私の唯一出来る料理
病み上がりな上人数も足りてない状況で
少しでも遅れを取り戻そうと働く数人の兵士達の為に
持ち運び出来るサンドイッチを
ここに来てからはよく作っている
3交替性にでもなったら本気で倒れそうだ
「あっ、さやさんがサンドイッチ作ってるぞ」
「まじか!俺あれ好きなんだよなー!
最近の楽しみはそれだけだよ本当!」
起き出した兵の騒ぎ声に
頬を緩ませ、急いで調理を進めた
*
馬に乗り、駆け
寒い北の大地を走り抜けていく。
南の塔は問題なかった。
皆元気そうに任務についていたし、噂の旅の一団も訪れてないとの事で
ほっと一安心。
ゼンに言われた通りに
旅の一団が薪を譲るなどと言ってきてもその薪は使わないように。
出来ればそれとなく目的地を聞いておく事を伝言し
私はすぐに砦へ戻った。
白雪がいるのだから大丈夫だろうと思いながらも
なるべく急いで馬を走らせラクスドの門をくぐり戻ると
ほとんどの兵が起き出し、雪かきをしていた