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【オビ】追い続ける【赤髪の白雪姫】

第5章 ラクスド








『どうしたの?
走りすぎてどっか痛い?』



「いやいや、大丈夫大丈夫
さあ行きましょう」



『そう?
オビも馬に乗りたかったら言ってね』




さやは馬に乗るとオビにそう声をかけた


イタズラにその背にしがみついて
また赤くさせてやりたい衝動に駆られたが


今はそれが、触れたいだけなのか


イタズラなのか



自分では判断が出来なかった




「(…やっぱやめとこう)

はいよ。さや嬢も休みたかったら言ってくださいよ」



『ふふふっ…大丈夫だよ
馬でもうすぐだし。ありがとう』




さやは手網を1振りして
馬を走らせ始めた

それを見たオビも
今度はさやの後を追って走り出す


後ろにオビの気配を感じる



(もう…何であんなに人との距離が近いの!

…心臓の音聞こえるかと思った

オビ…いい匂いだったな…)



まだ熱を帯びる頬を
冷ます為に真っ直ぐ前を向いて


ただひたすらに走り続けた













しばらく馬を走らせると
砦の大きな木製の門が見えてきた

砦の前で馬をとめる
馬を降りたさやの隣にオビも降りてきた



砦の様子が変だ

さやもこの砦に来るのは初めてだったが


通常通りであれば
砦の周辺を見回る兵士や
門の見張りの兵士がいておかしくない


今の砦はあまりにも、静かすぎる




『変だね…。どうしようか』


「そうだねぇ。
いっちょ俺が様子を見てくるよ」




オビはそう言うと
軽快な動きで砦の壁へ登って行った

砦の壁のてっぺんまで登ると
上から砦の中を見渡す




『誰も死んでないー?』


「ははっ…それは平気そうだよ」




下から声をかけるさやに
オビは笑って答えた

あんな高い所に登って怖くないのだろうか


もしそこに登っているのが
自分だったらと想像するとぞっとした




『オビ、気をつけてね!
流行病の可能性もあるから襟巻き上げておいて』



「はいよ」




オビはさやの言葉通り襟巻きを口元まで上げると

バチンっとウィンクして
砦の中へ入って行った





(何あれ…。カッコよすぎかよ)






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